このページでは、よく欠点として嫌われることを中心に材の紹介をします。
あえてこんなことをする理由は最後に書きますが、いろいろ欠点だと思われることを知ってお使いいただく方が、将来の皆様の幸せにつながることになると考えております。
前置きはこのあたりにして、セランガンバツに関して短所だと思われる点をご紹介いたします。
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ピンホールについて |
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セランガンバツ材の特徴として、ピンホール(小さな虫穴)が多いことはよく知られているかと思います。
ただ、サイトをググってもみんな同じようなことしか書いておりません。
将来の耐久性に影響が有るものではないのですが、初期の見た目はお世辞にも良いとは言えません。
見た目がどんなものか、参考にしてください。 |
2枚の写真を見比べてください。
左は2005年の材で、一目見てピンホールが分かります。
右は2016年の材で、目を凝らしても良く分かりませんが、3か所写っています。
最近は、左写真のように明らかな虫食いに見える材はほとんど見かけなくまりました。
右のように非常に綺麗なのですが、どうやらそこに落とし穴が有るようなのです。
次にご覧いただくのが2016年の施工現場で撮った写真です。
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写真は、建物内部に施工をするときに、配送時に材を濡らしてしまったものです。
このように黒っぽいシミのような状態になります。
シミは何らかの化学反応と言うよりは、見えないくらい小さなピンホールが大量に存在していて、その内部に有る埃やカビetc.が表面に出てきているのだと思われます。
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ちなみに写しているのが特別酷いというわけではなくて、このときは90%以上の木が大なり小なりこうなっていました。(実際に最近の材は濡らすと、こういったシミのようなものが浮いてくることが多いです。)
では、これは不良材で、セランガンバツは不良材だから使ってはいけないのでしょうか?
確かに室内だと頂けませんが、雨ざらしの環境だと、これらは風雨にさらされて、すぐに気ににならなくなります。
と言っても今回は建物の内部。しかもモデルルームですので、こういった汚れを放置しておくと、100%クレームになります。 私の現場で今までこういったことをしたのはこの現場だけなのですが、表面を全部サンダーがけをしてから床張りをしました。 |
おかげでこの通り汚れはまったく気になりませんでした。
このモデルルームのおかげで次の仕事も、セランガンバツで施工をさせていただきました。 |
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割れやささくれについて |
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これまた世の中に出回っている情報にセランガンバツは割れやささくれが有るので、素足では歩けない。ということがあるかと思います。
言葉として正しいような正しくないような言い回しですね。 実物を見てからもう一度検証させてください。 |
2015年10月に施工した現場で、翌年5月にささくれが酷いので、見に来て欲しいという依頼がありました。
さてどの材が問題になっているのでしょうか?
左の写真はなかなか分かりにくいですが、右の写真は一目でアウトの材が有りますね。
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このお宅は幼稚園児や赤ちゃんがいます。赤ちゃんがこの上でハイハイをしているということでしたので、いつもの何倍も念入りに見ました。
単純な割れは一見駄目に見えますが、ハイハイしても刺は立ちにくいです。 それよりは刺が立ちやすいと思われる材を片っ端から剥がして、裏返してみました。 |
左写真を見て、上がセーフで下がアウトと思っていました。
上の裏側は完全にアウトですね。こんな割れ方をしている材は後からどんどんささくれてきます。
下はセーフかアウトかは判断の基準次第かと思います。 |
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これも左の写真を見ると上がセーフで下がアウト。
裏返して見たら、上は問題なさそうです。
下は話になりませんね。
これはハイハイしたら確実に刺が立ちますので、交換決定。 |
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こんな感じで裏返したり、交換をしたりしました。
最後に丁寧にサンダー掛けをして、本日の作業終了です。 |
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交換したのは4枚。裏返したのも4枚です。赤ちゃんのハイハイを聞いていなければここまでの作業はしませんでした。
このお客様は天然木材に理解のある方で、この後も赤ちゃんをハイハイさせています。
最初に書いた、ささくれがあるという点では正しいのですが、素足で歩けないというのはその人次第です。 木に愛着を持っている人は素足で平気で歩いているのです。
お客様とメンテナンスについていろいろ話をして、帰路に着きました。クレームと言えば聞こえが悪いですが、今回の張替は私にとってもとてもいい経験になりました。
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まとめ |
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天然の木材は、長所短所が必ず有ります。 長所を伸ばすという考え方だと、愛着も沸いて長く幸せにお使いいただけます。
短所を嫌うという考え方だと、無い物ねだりになります。 当サイトで紹介をしている耐久性の高い木材は、それぞれの樹種で何らかの強烈な成分があります。
それらは長所でも有りますし、反面短所にもつながります。
100%長所だけという天然素材はこの世に存在をしません。 長所と短所の両方を知ることで、皆様の一番こだわる部分にピンと来た材をご用命ください。
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